Kindleとpen

多読活動の一環として、Kindle Unlimitedサービスを利用して読んでみたやさしいフランス語の本を紹介します。

Kindle Unlimited とは?



ご存知の方も多いと思いますが、簡単にKindle Unlimitedの説明をしておきます。

これは、月額980円を支払うと、電子書籍(Kindle版)が読み放題になる、日本のアマゾンのサービスです。

読み放題ですが、電子書籍なら何でも読めるかというと、それは違います。読み放題サービス対象の本でないと読めません。

自分の読みたい本に限って、読み放題になってなかったりします。

また、一度に10冊しかダウンロードできません。11冊目をダウンロードしようとすると、「もう10冊借りてるからだめです」という意味の文章が出て、ダウンロードできません。

すでにダウンロードしておいた本のどれかの利用を停止すれば、新たにダウンロードできます。

読み放題サービスになっている本の多くは、『Kindle ダイレクト・パブリッシング』を利用して出版されたものです。

これは、Kindle本を出したい人が自由に出版できるサービスです。

ようするにセルフパブリッシングです。無料でわりと簡単にできます(自分では出版したことないので知りません)。

誰でも出版できるため、読み放題本の中には、著しく質の低い本があります。

それは「やさしいフランス語で書かれた本」にも言えることです。

カスのような本を何冊か読むはめになりました。

いくら、読み放題でも月980円かかっているし(最初の30日は無料でお試しできます)、時間も投じるわけですから、カスのような本は読まないほうがいいです。

紙の本が出ている本(つまり商業出版されている本)のKindle版だと、カス度が低いので、そういう本を選ぶことをおすすめします。

では以下、読んでみた本を紹介します。

尚、読み放題サービスの対象は、時々変わるため、いまは読み放題になっていない可能性もあります。

French Short Stories For Beginners: 8 Unconventional Short Stories



短編が8個のっています。1つの話につき3章ぐらい。各章にその章の内容のサマリー(レジュメ)があり、難しい語彙の説明(英語)があり、内容に関する選択問題があります。

よって、「何が何だかわからない」ということはないと思います。

それぞれの話はバラエティに飛んでいて、よく言えばユニーク、悪く言えば突飛すぎます。

森にバーベキューに行って、たまたま枝にひっかかっていた不思議な光る物体をさわったら、透明人間になってしまったとか。

SFと言えばSFなんでしょうか?

ですが、通常、語彙を制限した本はとてつもなく退屈だったりするので、そこそこ「この先はどうなるんだ?」と思って先を読み進められます。

ビギナー向けとありますが、全くのビギナーには読めません。やたらと単純過去形が出てくるからです。

その人のレベルにもよりますが、「やさたく」初期にはおすすめしません。

やさたくとは?⇒フランス語の多聴と多読をがんばる年



紙本も出ています。音声もAudibleにあったので買って聞いてみました。

なお、著者の1人、Olly Richardsは、イギリス人で、多言語をマスターし、語学の習得法をブログに書いたり、ポッドキャストで配信したり、セミナーで論じたりしているその道では有名な人です。

彼のサイトはこちら⇒I Will Teach You A Language - Study Hacks and Mind Tools for Independent Language Learners

学習者目線で制作された本なので、読み放題本の中では良質な部類に入ると思います。

本の最初に、「この本の効果的な使い方(つまり勉強の仕方)」が英語でかなり長く、書かれています。

Le Gros Poisson: French for foreigners



刑事が事件を解決するタイプの話です。つまりミステリー、推理小説です。

推理小説は先が気になるから、多読に向く、とか言われますが、あくまでそれはおもしろい本の場合です。

B2レベルとありますが、そこまでは難しくないです。1章はとても短く、章が終わるたびに、語彙の注釈(フランス語)があります。

巻末で、同じ注釈(つまり単語リスト)がテーマごとに、再掲載されています。

この本の最大の特徴は話が今ひとつつまらないことです。

人物もできごとも、掘り下げていないので、サスペンスもへちまもありません。それとも私の理解力が低すぎるのでしょうか?

ページ数が少ないのに、殺人事件ではなくて、日常のちょっとした謎をテーマにすればいいのに、と思いました。

Inspecteur Dulac シリーズの1冊で全部で4冊出ています⇒Amazon.co.jp: Marie-Christine Volx: Kindleストア

たまたま、おもしろくない話を読んでしまったのかもしれません。



French Simplified Summary - Steve Jobs



スティーブ・ジョブズの生涯を時系列に書いたものです。

ものすごく短いので30分~45分で読み終わります。読むのが早い人なら、20分ぐらい読んでしまうでしょう。

Intermediate - Advanced Graded Reader for French Language Learners とありますが、そこまで難しくなく、ビギナーレベルです。

この本の特徴は、伝記(?)なのに、ときどき年号が間違っていることです。

事実の羅列に終始していて、おもしろみは皆無です。ウイキペディアのフランス語版を読んだほうが充実した時間が過ごせるかもしれません。

ですが、ジョブズのファンなら楽しめるかもしれません。



Le Petit Chaperon Rouge: Contes et Histoires pour enfants



シャルル・ペローの「赤ずきんちゃん」を小さな子供向けにリライトした本で、時々イラストが入っています。

ネイティブ向けの本で、レベルは 8~9歳、フランスの学年でいうと CE2です。小学校3年あたり。

CE2にしては簡単ではないか、と思うのですが、こんなものでしょうか?

フランスの小学校の学年についてはこちらで説明⇒フランスの小学校:授業は長いが、成績がよくないこと | フランス語の扉

Contes et Histoires pour enfants というシリーズで10冊以上出ています。

• Peter Pan
• Le vilain petit canard
• Le vaillant petit tailleur
• Le petit soldat de plomb
• Les musiciens de Brême
• Hansel et Gretel
• Cendrillon
• La Belle au bois dormant
• Le Petit Poucet
• La Petite Poucette
• Boucle d'Or et les trois ours
• Les trois petits cochons
• Le chat botté
• La Belle et la Bête
• Blanche-Neige et les sept nains

このページに集まっています⇒Amazon.co.jp: Il était une fois:作品一覧、著者略歴

いずれもよく知られたお話ばかりです。

この本は個人出版ではない雰囲気で、それなりに手間とお金がかかっています。

フランス語を知っている人が、フランス語を話す子どもむけに作った本なので、フランス語も間違っていないはずです(カス本の中には、微妙にフランス語が間違っている本もあるのです)。

同じシリーズから、5~6冊読んでみました。

いずれも10数ページで、絵も入っているのですぐに読み終わります。

ただ、ものによっては、単純過去形が容赦なく出てくるので、やさたくには向いていないです。

それにこればかり読んでいると飽きてきます。



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この他にもKindle Unlimited で読んだ本はあり、現在も読んでいます。

その2で紹介するつもりです。

カス本の中には本当にひどいものもあるので、先にも書きましたが、商業出版されているものを選ぶのが無難です。

「フランス語学習者向けなのに、フランス語が間違っているなんてことがあるのか?」と思うかもしれませんが、あるのです。

フランス語は性数一致や動詞の活用が複雑かつ難しいので、本を出版する前に、丁寧にチェックしないと、誤植や間違いが多発します。

セルフパブリッシングの場合、編集者の目が入っていないことが多いから、間違ったまま出版される可能性が高くなります。

編集者の手が入っていても、変な本が出るのはよくあることです。

また、外国の人は、たとえフランス語ネイティブでなくても、また、フランス語を教えるプロでなくても、「自分はフランス語が得意だ、人に教えることができる素晴らしい本を書ける」と簡単に自信を持つ傾向があります。

自信過剰すぎて、カス本ができてしまうのです。

さらに、フォーマットがうまくいかないのか、文字の並びが一定でなかったり、異様に読みにくいキンドル本になっていることもあります。