読書する人

アガサ・クリスティのミス・マープリシリーズの1作め、The Murder at the Vicarageを読みました。

Kindle版です。



数年前から、「ミス・マープルが出てくるやつを読みたいな」と思いつつも、なかなか手が(目が)まわらなかったのですが、ようやく1冊目を読み終えました。

読み始めたのは、数週間前。寝る前やお風呂の中、朝、早く目覚めたときなどに1~2章ずつ読み進めました。

全部で32章あります。ペーパーバックで304ページ。そんなに長くありません。

今回は、私が思う英語のペーパーバックを読むコツ(というほどたいそうなものではない)を書きます。

penとアガサ・クリスティ



私はもともと推理小説が好きで、小中学校のときは、子供むけのルパン3世とか、「ジキル博士とハイド氏」などを読み、高校生ぐらいから海外の推理小説を読み始めました(もちろん翻訳で)。

私が20代のときは、創元推理文庫から、アガサ・クリスティの作品がたくさんでていました。まあ、今も出ているのでしょうが。

表紙のイラストがなかなかおしゃれでそそられる装丁でした。

有名どころは翻訳で何冊か読んだのですが(内容はほとんど忘れています)、マープルものは、英語の文庫本しか読んだ記憶がありません。

講談社英語文庫だったと思います。

今、アマゾンで探したら、こんなのが出てきたのですが、



表紙はもっと可愛かったと思うので、違う本だと思います。

で、「長編をちゃんと読みたいものだ」と思いつつ、30年ぐらいたってしまったわけです。いやはや、時の流れは本当に早いですね。

私は、推理小説が好きですが、あまりおどろおどろしいのや、残酷なのや、血が飛び散るようなのは苦手です。

その点、アガサ・クリスティはそんなにエグい描写がないし、出てくる人たちがおもしろいし(人物描写がうまい)、エンターテイメント性があるし、「まあ、びっくり」と思うドンデン返しもあるし、私の好みにあっています。

とくにミス・マープルものは、ふだんは何も起きない田舎が舞台だったりするので、ますますのどかです。

The Murder at the Vicarage の英語について



英語の難易度とはしてはそんなに難しくありません。

とてもわかりやすい英語です。

1930年に書かれた作品ですが、驚くほど古臭くありません(まあ、ネイティブが読んだら、古臭い言葉が出てくる、と感じるかもしれませんが)。

1930年は昭和5年。この年、林芙美子の放浪記が出版され、ベストセラーになっています。

The Murder at the Vicarage の冒頭はこうです。

It is difficult to know quite where to begin this story, but I have fixed my choice on a certain Wednesday at luncheon at the Vicarage. The conversation, though in the main irrelevant to the matter in hand, yet contained one or two suggestive incidents which influenced later developments.



むずかしい単語は出てきません。高校の英語の教科書のほうが難しいと思います。

このあともずっとこんな調子です。構文も難しくないです。

私は、18歳ごろ、はじめてペーパーバックを読もうとして、トルーマン・カポーティの「ティファニーで朝食を(Breakfast at Tiffany's)」を栄(名古屋の繁華街)の丸善で購入しました。

表紙にオードリーがついていました。これとは違いますが、まあこんな感じです。



その後、辞書をひきながら、読み始めましたが、2ページ目ぐらいで挫折しました。「だめだ、全然わからない」と思ったのです。

ちなみに、このときオードリー・ヘップバーン主演の映画は見ていませんでしたので、内容については何も知りませんでした。

「ティファニーで朝食を」の冒頭はこうです。

I am always drawn back to places where I have lived, the houses and their neighborhoods. For instance, there is a brownstone in the East Seventies where, during the early years of the war, I had my first New York apartment. It was one room crowded with attic furniture, a sofa and fat chairs upholstered in that itchy, particular red velvet that one associates with hot days on a train.



こちらも決して難しくありません。高校程度の文法がわかっていれば読めます。

私、高校で難しい英文解釈を習い、もっとむずかしい英文(ただし数行の文章)を解読していました。それなのに、なぜこれが読めなかったのか?

よくよく見ると、高校の教科書より簡単で、しかも内容がおもしろい文章なのに。

結局、学校の授業では、主語はこれで述語がこれで、これが修飾語で、時制はこれだから、とやたらと細かく分析する読み方をしていたからだと思います。

しかも一文を読むのにバカみたいに時間をかけます。時間をかけすぎるので、読む量はほんのちょっぴり。

本を読むというより、分析することにフォーカスしてしまっているわけです。

これって、江戸時代の終わりか明治のはじめかわかりませんが、日本の学者が辞書も何もないところを、オランダの本やらを解読しようとした方式をずっと踏襲していたのではないでしょうか。

今の学校では、こんなやり方はしてないと思いますが。

もちろん、主語と動詞がわからなかったら、文章は読めないのですが、日本語の文だってそんなふうに分析し始めたら、読めるものも読めません。

分析せずに、流れにのって読むのがペーパーバックを読むコツだと思います。

わからないところは飛ばして読む、という多読の方法は悪くないと思います。多読しかやらないのは効率がよくないとは思いますが。

ペーパーバックを読むコツは分析しないこと。

これではないでしょうか。

私は、今プチ・ニコラも読んでいます。フランス語の本もこの流れにのる方式を採用し、辞書はいっさいひきません。

そのほうがうまくいくような気がします。

分析したければ、別の文章でやればいいのであり、楽しみで読むペーパーバックではやらないほうがよいと思います。

このやり方で読んでいると、知らない言葉が出てきても、「べつにいいもんね。だいたいの筋がわかれば」という気分でやり過ごすことができます。

知らないものが出てきてもストレスにならないのです。

ストレスにならない、楽しい、というのは語学を継続するために、ひじょうに重要なポイントです。

次回(があるかどうかはわかりませんが)は、The Murder at the Vicarage の内容について書きたいな、と考えています。